トルコリラ両建てとは?初心者が知っておくべき基礎知識

トルコリラ両建てとは?初心者が知っておくべき基礎知識

トルコリラでの両建て取引に興味を持ったものの、「本当に安全なの?」「スワップはどうなる?」と不安に感じている方は少なくありません。実際、正しい知識を持たずに両建てを始めたことで、損失を拡大させてしまった事例もあります。

本記事では、初心者でも理解できるように、トルコリラ両建ての基本からリスク、対処法までを丁寧に解説します。トルコリラは高スワップが魅力的である一方で、急落リスクやマイナススワップの罠も潜んでいます。

「買い」と「売り」を同時に保有するこの手法は、一見するとリスクを抑えられそうに見えます。しかし、

相場の動きやスワップの変動を正しく把握していないと、想定外の損失につながる可能性があります。

しっかりとした準備と戦略を持って臨むことが、長期的な資産形成には欠かせません。

この記事で分かること

  • トルコリラ両建ての基本的な仕組みと特徴
  • 両建てに潜むリスクとその理由
  • 失敗しやすいパターンと対策方法
  • おすすめの取引戦略と代替手法
  • スワップ差や両建て可否を比較した主要FX会社の情報

両建ての仕組みとトルコリラ特有の注意点

両建ての仕組みとトルコリラ特有の注意点

両建てとは何か?基本的な仕組みを解説

両建てとは、同じ通貨ペアにおいて「買い」と「売り」のポジションを同時に保有する手法です。一方向に相場が動いても損益が相殺される特徴があります。リスクを抑えるために使われますが、スワップポイントの影響を考慮しないと損失が出る場合もあります。

  • 利益と損失が相殺される構造
  • 急な相場変動時の損失回避策として利用される
  • 証券会社によっては制限がある場合も

なぜトルコリラで両建てする人が多いのか?

トルコリラは高金利通貨であり、スワップポイント狙いの取引に利用されやすい通貨です。特に長期保有で利益を得たい投資家に人気があります。ただし、通貨の下落リスクが高いため、両建てを利用して損失リスクをコントロールしようとする人が多くなっています。

スワップ狙いだけで両建てを選ぶと、逆ザヤで損失が拡大する可能性があります。

他通貨と比べたトルコリラのスワップとボラティリティ

トルコリラは他通貨に比べてスワップポイントが大きい一方、ボラティリティ(価格変動率)が非常に高い通貨です。以下の表は主要通貨との比較です。

通貨ペア スワップポイント(買い) 平均ボラティリティ
USD/TRY 約150円/日
MXN/JPY 約80円/日
EUR/JPY 約5円/日 低〜中

トルコリラ両建てが“リスク分散”にならない理由

表面的には「両建て=安全」と見えますが、実際にはスワップの差によってコストがかさみ、損失が蓄積するケースが多くあります。また、価格が一定方向に動くと、片側のポジションが大きな含み損を抱える構造になるため、想定外のリスクが発生します。

  • ポジション維持に日々コストが発生
  • リスク分散ではなく、リスクを固定化する形になる
  • 戦略がなければ逆効果になる可能性も

為替変動とスワップの逆ザヤが引き起こす損失とは?

スワップの「逆ザヤ」とは、売りと買いのスワップ差によって損失が出る状況を指します。例えば、買いポジションに+120円、売りに-150円のスワップが付与されていると、両建てを続けるだけで日々30円のマイナスになります。

ポジション スワップポイント 日次差引
買い +120円 -30円
売り -150円

このように、スワップ逆ザヤはポジションを保有しているだけで損失を生む要因となります。

トルコリラ両建ての「本当のリスク」と失敗例

トルコリラ両建ての「本当のリスク」と失敗例

急落時に両建てが損失を拡大させるケース

相場が急変した際に、両建てによって損失が抑えられると考える人は多いです。しかし、含み損のポジションが固定されたままになることで、資金効率が悪化します。2020年にはトルコリラ/円が1ヶ月で10%以上急落し、両建てポジションを維持していた投資家がロスカットされた例もあります。

  • 含み損の拡大による資金拘束
  • 価格が戻らなければ損失確定が困難
  • 証拠金不足による強制決済の可能性

スワップポイントのマイナスに耐えられない理由

スワップ狙いで両建てを選ぶ人も多いですが、売りポジションにかかるマイナススワップが損失の原因になります。例えば、買いスワップが+100円、売りが-160円の場合、1万通貨保有で1日60円、1ヶ月で1,800円の損失となります。

ポジション スワップポイント 1ヶ月の合計
買い(1万通貨) +100円/日 +3,000円
売り(1万通貨) -160円/日 -4,800円
差引損失 -1,800円

レバレッジによる強制ロスカットのリスク

両建てを行う際、多くの投資家はレバレッジをかけています。しかし相場が大きく動くと、含み損の拡大によりロスカット水準に近づく危険があります。特に証拠金維持率が100%を下回ると、多くのFX業者で自動的にポジションが決済されます。

  • レバレッジ5倍以上では変動に弱くなる
  • 両建てでも証拠金は減り続ける
  • 資金管理を怠ると一気に全損の可能性

「両建て=安全」だと誤解していた投資家の声

実際のユーザーからは、「両建てをしていれば安心だと思っていたが、気づけば毎月スワップで赤字だった」「スプレッドが2倍かかっていたのを後で知った」といった声もあります。

両建ては万能ではなく、資金とリスクの両方を継続的に消耗する手法です。

証券会社によって異なるスワップ設定の落とし穴

FX会社によっては、両建て時のスワップが両方マイナスになる場合があります。例えばA社では買い+80円、売り-100円なのに対し、B社では買い-10円、売り-100円と、どちらも損失が出る構造です。

FX会社 買いスワップ 売りスワップ 両建て時差引
A社 +80円 -100円 -20円
B社 -10円 -100円 -110円

両建てをする場合は、スワップの条件を事前に確認することが極めて重要です。

両建てを実行する前に確認すべき5つのチェックポイント

両建てを実行する前に確認すべき5つのチェックポイント

取引するFX会社のスワップとスプレッドの差

両建てを行う前に、FX会社ごとのスワップポイントとスプレッドを比較することが重要です。特にスプレッドは両建てにおいて2倍のコストになるため、狭いスプレッドを提供する会社を選ぶことが損失を抑える鍵です。

FX会社 スプレッド(USD/TRY) スワップ差(買い/売り)
ヒロセ通商 1.0銭 +100円 / -120円
みんなのFX 0.9銭 +110円 / -115円

トルコ中銀の金利政策とインフレ動向の確認

トルコリラは金利とインフレの影響を大きく受ける通貨です。トルコ中銀の政策金利が変動すると、スワップや相場にも大きな影響を与えます。2024年末には金利が45%に達したという実例もあり、政策変更の動向は常に注視すべきです。

トルコリラの中長期チャートと相場環境の把握

過去5年のトルコリラの値動きを確認すると、対円でおよそ半分以下に下落していることが分かります。両建てであっても中長期のトレンドを無視しては、損失の拡大リスクを見落とす可能性があります。

  • 2018年:23円前後
  • 2020年:16円前後
  • 2024年:4円台まで下落

証拠金維持率とロスカット水準の確認方法

両建ては証拠金の拘束が大きいため、証拠金維持率の把握が不可欠です。多くのFX会社では証拠金維持率が100%を切ると強制ロスカットとなります。下表は一例です。

FX会社 ロスカット水準 証拠金維持率
GMOクリック証券 証拠金維持率50% 80%以上で警告
LIGHT FX 証拠金維持率100% 120%以上を推奨

想定される最大ドローダウンの計算方法

両建てでも、相場の急変により一方のポジションが大きな含み損を抱える可能性があります。そのため、過去の最大ドローダウンを基に損失許容範囲を試算しておくことが大切です。

十分な資金を確保せずに両建てを行うと、耐えきれずに強制決済される恐れがあります。

トルコリラ両建ての代替手法とリスク回避戦略

トルコリラ両建ての代替手法とリスク回避戦略

スワップ狙いの買いポジションのみで戦う方法

両建てよりも単一の買いポジションでスワップを狙う手法は、コストが明確で管理しやすいのが特徴です。特にトルコリラのような高スワップ通貨では、短期売買よりも長期保有で利益を得るケースが多く見られます。

  • 買いポジションのみのためスワップがプラスに働く
  • 売り側のマイナススワップを避けられる
  • レバレッジを抑えることでリスクも軽減

ロスカットを避ける長期分散積立投資の考え方

トルコリラを毎月少しずつ買い付けていく「分散積立型」の投資法は、急激な下落に巻き込まれにくく、精神的な安定も得られる手法です。10万円の資金を5万円ずつ2回に分けて購入するだけでも、取得単価が下がる効果が期待できます。

両建てではなく「トラリピ系自動売買」の活用

トラリピ(トラップリピートイフダン)などの自動売買ツールは、相場の上下動を活かして自動で利益を狙う仕組みです。両建てに比べてシステム的に利確や損切りが管理されているため、感情的なミスを減らせます。

自動売買サービス 特徴
トラリピ(マネースクエア) リピート系注文で自動売買
ループイフダン(アイネット証券) 設定が簡単で初心者にも人気

通貨分散によるリスクヘッジの現実的手段

トルコリラに資金を集中させず、メキシコペソや南アフリカランドなどの通貨と組み合わせることで、国ごとの経済変動リスクを分散できます。例えば、トルコリラとメキシコペソを半々にするだけで、値動きと金利の異なる2軸で安定性が生まれます。

  • 高金利通貨同士のバランスを取れる
  • 一国の急落リスクを軽減
  • 複数通貨のスワップ受け取りで利益継続

両建て解消のタイミングと出口戦略とは?

両建てを行ったとしても、最終的に解消しなければ利益は確定しません。解消のタイミングは、含み損が小さくなった時や相場に明確なトレンドが出た時が理想です。以下の戦略が有効です。

  • 一定の損失を許容し、損切りを行う
  • 片方のポジションのみ残してスワップを狙う
  • 相場急変時に両建てを一時的に活用し、戻しで解消

両建ては永久保有すべき手法ではなく、あくまで一時的なリスク対処策と捉えるべきです。

実在FX会社のスワップ比較と両建て可否【2025年最新版】

実在FX会社のスワップ比較と両建て可否【2025年最新版】

ヒロセ通商:高スワップだが両建て制限あり

ヒロセ通商は高スワップで知られていますが、両建てに対して厳しい制限がある点に注意が必要です。スワップポイントは魅力的ですが、同一口座内での買いと売りを同時保有する場合、片方のスワップがゼロやマイナスになることがあります。

項目 内容
買いスワップ 約110円
売りスワップ -130円
両建て時の扱い 片側スワップ0円になる場合あり

GMOクリック証券:スプレッドが狭く短期向き

GMOクリック証券は、スプレッドの狭さに定評があり、短期取引に適している業者です。スワップポイントはやや控えめですが、コスト重視のユーザーに人気があります。両建ては可能ですが、スワップ差の影響には注意が必要です。

LIGHT FX:スワップ重視派に人気の理由

LIGHT FXはトルコリラを含む高金利通貨のスワップが安定して高く、長期保有型のスワップ派にとって理想的な環境を提供しています。両建ても可能で、買いスワップと売りスワップのバランスも比較的良好です。

  • 買いスワップ:約120円
  • 売りスワップ:約-130円
  • 両建てによる制限なし

みんなのFX:両建てOKでスワップも安定

みんなのFXは、LIGHT FXと同系列のサービスで、両建ての柔軟性とスワップの安定性が魅力です。ユーザーの間でも「初心者向け」「UIが使いやすい」と評価されており、サポート体制にも定評があります。

  • スワップとスプレッドのバランスが良い
  • 取引ツールが直感的で操作しやすい
  • キャンペーンも頻繁に実施

外為どっとコム:情報コンテンツが豊富な初心者向け

外為どっとコムは、取引環境の安定性に加え、初心者向けの情報提供が充実していることが特徴です。両建ては可能ですが、スワップ差はやや広めです。経済指標の配信やセミナーなど、学びながら取引したい方に適しています。

スワップポイントの比較だけでなく、取引制限やツールの使いやすさも総合的に判断することが大切です。

トルコリラ両建てに関するよくある質問(FAQ)

トルコリラ両建てに関するよくある質問(FAQ)

両建ては初心者に向いていますか?

両建ては一見リスク分散に見えますが、初心者にはあまりおすすめできない手法です。スワップ逆ザヤや維持コスト、解消タイミングなど判断が複雑で、相場経験や資金管理の知識が必要です。

  • 初心者はまず片建て(買いのみ・売りのみ)で慣れるのが安全
  • 複雑なリスクコントロールが必要
  • 実際に「意味が分からずマイナススワップだけが積もった」との声もあり

トルコリラのスワップが日々変動する理由は?

スワップポイントは、各FX会社がその日の市場金利をもとに算出しているため、日によって上下するのが通常です。特にトルコの金融政策や為替の急変があると、大きく変動します。

変動要因 内容
トルコ中銀の金利変更 利上げ・利下げによって変動
FX会社の方針 同じ日に異なるスワップを提示する場合あり

両建ては税金の面で有利になるの?

基本的に両建てを行うこと自体が税制上有利になることはありません。利益確定のタイミングや損失の扱いで結果的に税額が変わる可能性はありますが、節税目的での両建てはリスクが高いため推奨されません。

  • 両建て中は含み益・含み損ともに未確定の扱い
  • 確定申告では決済済みの損益が対象
  • 一時的な損切り・利確で税額を調整することは可能

トルコリラの暴落時、両建ては機能する?

両建ては相場が急変したときに損失を限定する効果がありますが、完全な防御策ではありません。暴落時には流動性が急低下し、スプレッドの拡大やスワップ逆転によりコストが急増する可能性があります。

暴落時に備えて「事前に片方を縮小」「レバレッジを下げる」などの準備が不可欠です。

両建てしたまま放置するとどうなりますか?

一見リスクが小さく見える放置戦略ですが、スワップコストの蓄積により、長期的には損失を招く可能性が高いです。また、相場が戻らなければ、損切りのタイミングを逃すリスクもあります。

  • 両建て状態はコストだけが発生し続ける
  • 相場が動かなければ損益は固定されたまま
  • 毎月数千円のマイナスが続き資金を圧迫

両建て解除のタイミングはいつがベスト?

ベストな解除タイミングは「含み損が最小になったとき」または「明確なトレンドが発生したとき」です。片方を早めに利確して流動性を確保するのも有効な手段です。機械的に決めるルールを作ることで迷いを減らせます。

  • レンジ相場→上抜け時に売りポジション解消
  • 下落トレンド→買いポジションを損切りで解消
  • マイルール例:「含み損が10%を超えたら片方決済」

まとめ:トルコリラ両建ては「知識と準備」がないと危険

まとめ:トルコリラ両建ては「知識と準備」がないと危険

トルコリラの両建ては、正しく活用すれば短期的なリスク回避手段になりますが、知識や資金管理のないまま始めると損失を拡大させる危険性が高い手法です。

特に、スワップポイントの逆ザヤや証拠金維持率の低下、ポジションの固定化など、見えにくいリスクが日々積み重なります。

両建てを行う前には、以下のポイントを確認しておくことが重要です。

  • 両建てに関する基礎知識と仕組みを理解しているか
  • スワップポイントとスプレッドの条件を比較済みか
  • トルコリラの中長期トレンドを把握しているか
  • 自分の資金に見合ったロット数で運用しているか
  • 万が一の暴落時に備えた出口戦略を準備しているか

感覚的な判断ではなく、根拠に基づいた運用を意識することが、トルコリラ両建てで失敗しないための最大のカギです。

短期的な安全性に惑わされず、中長期的な視野での判断が不可欠です。

関連記事