【10年分の推移】トルコリラの時系列チャートと値動きの背景

2025/06/18

3-1.トルコリラを取り扱うFX業者の比較

トルコリラの推移を時系列で理解する重要性

トルコリラの値動きを追うことは、投資判断や経済ニュースの理解において非常に有益です。過去10年のデータを時系列で整理することで、現在の為替状況がどのような背景で形成されたのかが見えてきます。

「なぜトルコリラは下落し続けているのか？」といった疑問を持つ方も多いでしょう。この記事では、そうした根本的な問いに対して明確な答えを提示します。

また、「これから投資しても大丈夫か」と不安を抱く方にも、具体的な過去データと背景をもとに納得できる判断材料を提供します。

為替チャートの見方や経済イベントとの関係も含めて解説するため、初心者でも読み進めやすい内容です。

この記事で分かること

トルコリラの過去10年間の為替チャート推移
主要な経済イベントと値動きの関係
米ドルやユーロなど他通貨との比較分析
トルコリラ投資のリスクと今後の展望
専門家による今後の見通しや注目ポイント

トルコリラの基本情報と経済的背景

トルコリラとは？通貨の基礎知識

トルコリラ（TRY）は、トルコ共和国の法定通貨です。1リラは100クルシュに分かれており、2005年に「新トルコリラ」として旧リラからデノミネーションされました。

現在流通しているのは第9シリーズ紙幣で、500リラ紙幣導入も検討されています（2025年6月時点）。

トルコリラの信用性や為替レートは、主に中央銀行の政策金利と国際的な信用評価に影響されます。

トルコ経済の特徴と課題

トルコ経済は、製造業・農業・観光業の3つの柱で構成されています。とくに自動車産業はGDPの13％を占め、EU向けの輸出が活発です。

一方で、インフレ率の高さと経常赤字が慢性化しており、通貨安を招く一因となっています。

経済成長率は年4〜6％を記録する一方、物価上昇率がそれを上回る年もあるため、実質所得は伸びにくい構造です。

トルコ中央銀行の役割と政策金利

トルコ中央銀行（CBRT）は、物価安定と為替安定を目標に政策金利を調整しています。

近年では、政権の圧力により金利引き下げが続きましたが、2023年以降は金融引き締め路線に転換。2024年の政策金利は45％に達しました。

この金利は世界的にも高水準であり、リスク通貨としてのトルコリラの特性を強めています。

為替レートに影響を与える要因

トルコリラの為替レートは以下のような複数の要因によって変動します。

政策金利の変更
インフレ率と物価動向
政情不安や外交関係
経済指標（GDP、貿易収支など）

これらの要素は複合的に作用し、短期間でも大幅な変動を招くことがあります。

他国通貨と比較したトルコリラの立ち位置

トルコリラは、新興国通貨の中でも特にボラティリティが高い通貨として知られています。

通貨	2024年の年間変動率
トルコリラ（TRY）	-32.5％
ブラジルレアル（BRL）	-8.1％
南アフリカランド（ZAR）	-10.4％

このように、トルコリラは他通貨に比べて投機的要素が強く、投資判断には慎重な分析が求められます。

【10年分】トルコリラの時系列チャートで見る為替推移

2015〜2020年の主な値動きと背景

2015年から2020年にかけて、トルコリラは対ドルで約50％以上下落しました。特に2018年には政情不安とアメリカとの対立により、わずか3か月でリラは20％以上急落しました。

この期間は、政治リスクと金融政策の不透明さが通貨安の主因となりました。

2016年：クーデター未遂事件
2018年：米国との経済制裁
2020年：新型コロナウイルス拡大による経済停滞

2021年以降の急落とその要因

2021年以降、トルコリラはさらに下落し、2023年末には1ドル＝27リラを突破しました。これは史上最安値の更新です。

金利引き下げとインフレ高騰が重なり、投資家の信頼を大きく損ねました。

特に2021年末には月間で20％以上下落するなど、極めて不安定な動きを見せました。

年間平均レートの推移とインフレ影響

年	年間平均ドル/リラ	トルコのインフレ率（概算）
2015年	2.72	8.8％
2018年	4.81	20.3％
2021年	8.89	36.1％
2023年	21.49	64.3％

このように、インフレの上昇がリラ安を加速させる構図が明確です。

チャートから読み取れるトレンド変化

チャート分析では、一定の価格帯を下回った時点で加速度的な下落が続く傾向が確認されています。

2018年：5リラの節目を割り込んで急落
2021年：10リラ突破で投機筋の売りが集中
2023年：20リラ突破で心理的節目が崩壊

移動平均線と出来高分析を併用することで、より正確なトレンド判断が可能です。

為替チャートの見方と注目ポイント

為替チャートを読み解く際は、以下のポイントを重視することが重要です。

ローソク足のパターン
サポート・レジスタンスライン
出来高の増減と急変時のローソク足形状
ファンダメンタルズとの組み合わせ

初心者でもチャートを見る習慣をつけることで、投資判断の精度が高まります。

トルコリラの値動きを左右する経済イベント

政治不安と選挙の影響

トルコでは選挙のたびに市場が大きく反応する傾向があります。特に2018年と2023年の大統領選挙では、与党の政策方針への不透明感がリラ売りを誘発しました。

政治的安定が確保されない限り、投資家は長期保有を避ける傾向にあります。

選挙結果による通貨変動リスクは短期間でも大きく、リスク管理が重要です。

中央銀行の利下げ・利上げ政策

トルコ中央銀行（CBRT）は2021年から2023年にかけて、政策金利を19％から8.5％まで段階的に引き下げました。

その後、2023年後半には再び引き締めへと方針転換し、2024年には政策金利が45％にまで達しました。

このような極端な金融政策は、為替市場の混乱を招く大きな要因です。

国際関係（NATO、EU、アメリカなど）との関係

トルコはNATO加盟国であり、EUとの関係も深く、外交政策が為替相場に直結します。

対米関係：制裁・関税問題がリスク要因
対EU：加盟交渉や人権問題が注目点
ロシアとの関係：地政学リスクの影響大

外交摩擦が高まると、海外資本が急速に流出しリラ安が進行します。

原油価格とトルコ経済の関係性

トルコは石油の大半を輸入に依存しているため、原油価格の高騰は経常赤字を拡大させる原因になります。

年	原油価格（1バレル）	トルコリラの年末レート（対ドル）
2021年	約70ドル	13.32リラ
2022年	約94ドル	18.70リラ

原油価格が上昇すると、輸入コストが跳ね上がり、リラの下落圧力となることが分かります。

国内インフレと購買力の低下

トルコ国内のインフレ率は2022年に85％を記録し、実質購買力を大きく下げました。

生活費の高騰が進むことで、通貨に対する信頼が損なわれ、市場はドルなどの安定資産へと資金を移動させます。

2024年のインフレ率は依然として40％台を推移しており、改善には時間を要します。

他国通貨との比較：トルコリラの特徴とは？

トルコリラ vs 米ドル（USD）

米ドルは世界の基軸通貨として安定性が高く、トルコリラとの比較では極端な価値差があります。2024年時点で1ドル＝32リラ台を突破しており、長期的に見てもドル優位の傾向が続いています。

ドル建てで取引する商品価格が上昇し、インフレを加速させる一因になっています。

トルコリラ vs ユーロ（EUR）

ユーロはEU加盟国の通貨で、トルコの主要貿易相手であるため、リラとユーロの為替レートも重要です。

年	1ユーロあたりのリラ（TRY）
2020年	約9.0
2022年	約17.5
2024年	約35.2

貿易コストや観光消費に影響するため、企業経営にも直結する為替差と言えます。

トルコリラ vs 日本円（JPY）

トルコリラと円は、どちらも高ボラティリティ通貨として注目されていますが、実質購買力においては大きな違いがあります。

2024年時点で1円＝0.22リラ前後となっており、2015年の水準と比べて2倍以上の開きが生じています。

短期トレーダーにとっては魅力的でも、長期保有にはリスクが伴います。

新興国通貨との相関性と違い

トルコリラは南アフリカランドやブラジルレアルといった他の新興国通貨と比較されます。

政治的リスクの影響度が高い
資源依存度は相対的に低い
短期金利の変動幅が大きい

ボラティリティの高さではリラが突出しており、ハイリスク・ハイリターン型通貨と位置づけられます。

トルコリラ投資のリスクと魅力

高金利通貨としての魅力がある一方で、リスク要因も数多く存在します。

急激な為替変動による元本割れリスク
政権交代や金融政策の不確実性
インフレによる実質利回りの低下

それでも、2024年時点での政策金利は45％と世界最高水準であり、短期運用では有力な選択肢と見られています。

今後のトルコリラの見通しと専門家の見解

IMFや世界銀行の予測

国際通貨基金（IMF）や世界銀行は、トルコの経済成長率を2025年には3.2％と予測しています。一方で、インフレ率は依然として20％台を維持すると見込まれており、通貨安が続く可能性が高いです。

トルコリラの回復には構造改革が不可欠との見解が強まっています。

トルコ国内の経済改革の方向性

政府は金融政策の独立性回復や歳出削減を進めていますが、成果は限定的です。

財政支出の見直し
利上げによる物価抑制
外資誘致のための制度改革

改革が市場に信用されなければ、短期的な通貨防衛効果は限定的となります。

投資家の心理と為替市場の展望

リスク資産への選好度が高い投資家からは一定の注目を集めていますが、過去の急落経験が心理的な壁となっています。

特に海外からの資金流入には、政治安定と明確な政策が求められています。

政策変更のたびに市場が大きく反応するため、慎重な観察が必要です。

金利政策の今後と予想レート

2024年現在の政策金利は45％と非常に高水準です。これは一時的な引き締め策であり、インフレ鈍化が見られれば段階的に利下げに転じる可能性があります。

市場関係者の一部では、2025年末までに1ドル＝35〜38リラと予想されています。

トルコリラの回復可能性はあるのか？

中長期的には、構造改革と政情安定が鍵を握ります。過去には2001年の通貨危機からの復活もあったため、完全に悲観する必要はありません。

ただし、外的ショックや内部要因が重なると下落圧力が再燃するため、慎重な資産運用が求められます。

トルコリラ投資のメリット・デメリット

高金利通貨としての魅力

トルコリラは2024年時点で政策金利が45％と、世界でも類を見ない高金利を誇ります。スワップポイント狙いのFX投資家からは、高利回り通貨として注目されています。

特に短期運用では、数日で利回りが得られる点が大きな魅力です。

為替変動リスクの大きさ

トルコリラは過去10年で約80％の価値を失っており、ボラティリティの高い通貨です。

2018年：対ドルで月間20％超の下落
2021年：リラショックにより暴落
2023年：年初から25％下落

為替差損がスワップ益を上回る可能性があるため、慎重な管理が必要です。

実際の投資手法と注意点

トルコリラ投資は主にFX口座や外貨預金、ETFを通じて行われます。

手法	特徴
FX（外国為替証拠金取引）	スワップ益狙い・レバレッジに注意
外貨預金	元本保証なし・利回り安定
ETF	価格変動リスクを分散可能

どの方法でも、証券会社のスプレッドや手数料の確認が重要です。

長期保有と短期取引の違い

スワップポイントを狙うには長期保有が前提ですが、急落局面では逆に大きな損失を被ることがあります。

長期保有：高スワップ・為替リスク高
短期売買：利益機会多・頻繁な取引必要

投資スタイルに合わせた選択が、収益性を左右します。

外貨預金・FX・ETFでの選択肢

トルコリラ投資を始めるには、口座の種類や商品選びも重要です。

リスクを抑えたい：外貨預金
高リターン狙い：FX
分散投資したい：ETF

それぞれにメリット・デメリットがあり、資産配分のバランスを意識することが大切です。

よくある質問（FAQ）

トルコリラは今後上がる見込みはありますか？

短期的には政策金利の高さから一時的な上昇も考えられますが、中長期では経済改革の進捗次第です。

たとえば2023年には金融引き締めが評価され、一時的に対ドルで2％ほどリラが上昇しました。

ただし、政情不安やインフレ継続があれば再び下落するリスクもあります。

なぜトルコリラはここまで下落したのですか？

主な要因は以下の通りです。

中央銀行の信頼低下
インフレ率の急上昇（2022年には85％超）
政権による利下げ強行

これらが複合的に作用し、海外投資家の資金が流出した結果、急落につながりました。

トルコリラ投資は初心者にも向いていますか？

高スワップ狙いで人気はありますが、ボラティリティが高く初心者には注意が必要です。

短期の利益よりも長期での為替損失のリスクを理解した上での判断が求められます。

元本保証がないため、預金感覚で始めるのは避けましょう。

トルコの政治が為替に与える影響とは？

トルコは大統領の発言一つで通貨が動くほど、政治の影響が強い国です。

実際に2021年にはエルドアン大統領が利上げを否定したことで、リラは3日間で約10％下落しました。

選挙や政策転換などの政治イベントには、常に警戒が必要です。

トルコリラで利益を出すにはどうすれば良い？

利益を出すためには、以下のような戦略が有効です。

スワップポイントを狙う長期保有
短期的な値動きを狙ったFXトレード
ETFや投信を活用した分散投資

いずれの方法でも、為替リスクと金利動向を常にチェックすることが求められます。

トルコ旅行に影響する為替変動のポイントは？

旅行者にとって為替の変動は、現地での支出に直結します。2024年現在、リラ安の影響で日本円の購買力は非常に高い状態です。

たとえばトルコ国内での1食あたりの外食費は、日本円で300円前後とコストパフォーマンスが高くなっています。

ただし、為替が急変した場合には価格がすぐに変動するため、旅行直前の為替チェックが重要です。

まとめ：トルコリラの10年推移と今後の見通し

この記事では、過去10年にわたるトルコリラの時系列チャートと値動きの背景について、時代ごとの変化や要因を詳しく解説してきました。

過去10年間でトルコリラは継続的に下落し、特に2018年・2021年・2023年の節目で大きな為替変動が起きました。

これには中央銀行の金利政策、インフレ率、政治的要因、国際関係の影響が複雑に絡み合っています。

今後の見通しについては以下の通り整理できます。

短期では政策金利の引き締めにより一時的な上昇も見込まれる
中長期的には構造改革と政情安定が鍵
為替投資ではスワップ益と為替差損のバランスが重要
観光面ではリラ安が日本人旅行者にとって好条件となっている

今後の為替動向を見極めるには、定期的なチャート確認と経済指標のチェックが不可欠です。

変動リスクの高い通貨であることを念頭に置きながら、冷静に判断する姿勢が求められます。