【プロが解説】トルコリラがデフォルトしたらどうなる？運用リスクと資産防衛法

2025/06/29

6-2.投資判断支援ツール

トルコリラのデフォルトが気になるあなたへ

トルコリラに興味があるけれど、「デフォルトしたらどうなるのか不安…」という声は少なくありません。実際、過去にもトルコ経済が不安定になった局面があり、多くの個人投資家が判断に迷いました。

本記事では、万が一トルコリラがデフォルトした場合に起こり得る影響や対応策について、最新情報と実例を交えて詳しく解説します。

「資産がゼロになる？」「スワップポイントはどうなる？」「撤退のタイミングは？」など、投資初心者が感じる不安にもひとつひとつ答えていきます。

リスクを理解したうえで正しく運用すれば、トルコリラは高金利通貨としての魅力も十分に活かせます。感情に流されず、冷静に判断できる情報をこの1記事にまとめました。

不確実な状況こそ、正しい知識と判断力が資産を守る鍵となります。

この記事で分かること

トルコリラの基礎知識と過去の値動き
デフォルトが発生した場合に起こる具体的な影響
トルコリラ運用に潜むリスクの種類と対処法
他の高金利通貨との比較と戦略的な使い分け
運用に関するよくある質問と専門的な回答

トルコリラとは？基本情報と過去の値動きをおさらい

トルコリラの特徴とは？

トルコリラ（TRY）は、新興国通貨の中でも高金利通貨として知られています。特にスワップポイント目的の投資先として人気がありますが、同時に価格変動が激しいという特性も持ちます。

国際的な通貨取引の中では取引量が少なく、政治的・経済的なニュースの影響を強く受けやすい傾向があります。

過去の主要な為替変動（年ごとの下落トレンド）

ここ10年でトルコリラは対円・対ドルで大きく下落しています。特に2018年には年初から年末までで約40%の下落が発生しました。

以下は過去の代表的な下落年と要因をまとめた表です。

年	対ドル下落率	主な要因
2018年	約40%	米国との外交問題・金利政策への不信感
2020年	約25%	新型コロナによる経済減速・インフレ加速
2023年	約30%	中央銀行の独立性低下

トルコの経済と政治リスクの影響

トルコリラの価値は、エルドアン政権の経済政策に大きく左右されています。特に、利下げ圧力とインフレの同時進行が信用低下を招きやすい状況です。

政府の政策判断が市場予想と逆行する場面では、急激な通貨安が発生するため注意が必要です。

高金利通貨としての魅力とリスク

2025年6月時点で、トルコの政策金利は40%以上と非常に高水準です。これは日本円との金利差を利用したスワップポイント投資に有利な条件となります。

一方で、為替レートの下落がスワップ利益を相殺するリスクも常に存在します。実際、スワップで利益が出ても通貨安で損失となるケースが多く報告されています。

スワップポイント狙いの運用が人気の理由

個人投資家の間では、少額から始められるFX取引を通じて、トルコリラでスワップ収益を狙う運用法が注目されています。SNS上には「1年間でスワップだけで約20万円の利益が出た」という投稿も見られます。

高金利が維持されている
レバレッジを効かせやすい
中長期運用に適している

ただし、運用には常に通貨下落のリスクが付きまとうため、証拠金維持率や損切りルールの徹底が求められます。

トルコリラがデフォルトしたら起こること

デフォルトの定義とその判断基準

デフォルトとは、国が対外債務の返済義務を履行できなくなる状態を指します。国債の利払い遅延や借換不能が発生した時点で「選択的デフォルト（SD）」に分類され、IMFや格付け機関が判断します。

トルコの場合、通貨危機や外貨準備の急減などが引き金になるとされています。

為替市場に与える衝撃とは？

デフォルトが宣言されると、為替市場ではトルコリラが急落します。2023年に報じられた一部格下げ時には、1日で10%以上下落した事例もあります。

短期間で大きな価格変動が起きるため、スプレッドの拡大や約定遅延も発生しやすくなります。

流動性が急激に低下する
FX業者が一時的に取引制限を行う場合がある
追証やロスカットの発生リスクが高まる

金融機関・投資家への影響

デフォルトにより、トルコ国債を保有する金融機関や投資信託が損失を被る可能性があります。日本国内でも新興国債券を含む投信を通じて間接的な影響を受けるケースがあります。

主体	影響内容
銀行	保有債券の損失、与信リスクの拡大
投資信託	基準価額の急落、運用見直し
個人投資家	間接保有分を含めた資産評価減

個人投資家の保有資産へのリスク

トルコリラ建て資産の多くは為替の影響を強く受けます。高金利で得たスワップ収益も、為替損によって帳消しになる恐れがあります。

たとえば、スワップ益が年間10万円でも、リラが30%下落すればそれを上回る損失となる可能性があります。

元本割れリスクの増大
再投資先の確保が困難に
投資判断の再考が必要

過去のデフォルト事例との比較（例：アルゼンチン）

2001年のアルゼンチン危機では、国債の大幅なデフォルトと通貨暴落が同時に起こり、経済が長期間混乱状態に陥りました。

当時の対ドル為替レートは半年で約70%下落しました。トルコリラも類似の状況に陥る可能性があるため、

過去の例から学び、最悪のケースを想定した対策が不可欠です。

トルコリラ運用の主なリスクとは？

為替変動リスクの大きさ

トルコリラは主要通貨に比べて価格変動の幅が極めて大きい通貨です。例えば2023年には対円で年初から年末にかけて30%以上下落する局面がありました。

この変動幅は米ドルやユーロの数倍に及ぶため、短期間での資産価値の変動リスクが常に存在します。

1日で5%以上下落することもある
為替差損がスワップ利益を上回るケースも多い
高レバレッジではロスカット発生の危険性が増す

トルコ中央銀行の政策による影響

トルコ中央銀行は、エルドアン大統領の影響を強く受けるとされ、金融政策の独立性が疑問視される場面もあります。

実際、2021年には利下げを巡って中央銀行総裁が更迭され、トルコリラが急落しました。

市場との信頼関係が薄い中での政策変更は、為替に大きな悪影響を及ぼします。

インフレ率の高騰とその背景

トルコでは2022年にインフレ率が年率80%を超える場面がありました。2025年時点でも依然として20〜30%の高水準が続いています。

以下は過去5年のインフレ率推移です。

年	インフレ率（年率）
2020年	14.6%
2021年	36.1%
2022年	85.5%
2023年	65.2%
2024年	35.3%

高インフレ下では物価が上昇するだけでなく、通貨の実質価値も急速に下がるため、投資収益の実質的価値も減少します。

地政学リスク（隣国との関係や内政）

トルコはシリアやロシアといった地政学的に不安定な国と隣接しており、軍事的緊張が高まると為替市場にも大きな影響が出ます。

クルド人勢力との衝突報道でリラが売られる
欧米との外交摩擦が投資家心理を冷やす
選挙やクーデター未遂などの内政問題が通貨に波及

情報取得のタイムラグが生む判断遅れ

トルコに関する経済・政治ニュースは、英語・トルコ語のソースが中心となるため、日本語での情報はやや遅れがちです。

情報収集が遅れると、市場がすでに反応した後に判断を下すことになり、不利なトレードになるリスクが高まります。

SNSや現地メディアの翻訳ツールを活用することで、情報の鮮度を保つ工夫が必要です。

トルコリラ運用で失敗しないための資産防衛術

リスク許容度に応じた投資額の設定

トルコリラの運用では、自己資金に対する適切なポジションサイズを見極めることが重要です。たとえば、総資産の5〜10%程度に抑えると、損失時の影響を軽減できます。

生活資金とは必ず分ける
短期資金での運用は避ける
価格変動が激しい通貨であることを前提に

証拠金維持率の高め設定のススメ

FX取引では証拠金維持率が低いと、想定外の急落でロスカットされやすくなります。最低でも200%を維持し、できれば300%以上を目安にすると安心です。

維持率を高めに設定しておくことで、急変時にも落ち着いて対応できる余裕が生まれます。

分散投資でトルコリラ依存を防ぐ

トルコリラ1通貨だけに集中投資するのはリスクが高いため、通貨や資産クラスを分けて運用することが推奨されます。

分散先	メリット
南アフリカランド	高金利かつ政策安定性も比較的高い
メキシコペソ	米国との経済連動性があり信頼性が高い
金・インデックス型ETF	為替リスクの異なる資産でバランスが取れる

リスクオフ時の即時撤退ルールの策定

為替相場では、地政学リスクや金融不安が起こるとリスク回避の動きが強まります。その兆候が見えたら即時撤退するルールを持っておくことが大切です。

ユーザーの声として「予兆があったのに撤退できなかった」というケースが多数報告されています。

日経平均が大幅下落
米ドル高急進
戦争・テロ・政変の報道

定期的なポジションチェックとリバランス

週に1回以上は保有ポジションを確認し、含み損益・証拠金状況・市場の変化をチェックしましょう。

リスクが偏りすぎていると感じたら、すぐにポジション調整や一部利確・損切りを検討する必要があります。

「放置運用」は通貨危機の場面では非常に危険です。

他の高金利通貨との比較で見えるトルコリラの立ち位置

南アフリカランドとのリスク比較

南アフリカランド（ZAR）は、トルコリラと同様に高金利通貨として知られていますが、政策の安定性や格付けの面で優位にあるとされています。

項目	トルコリラ（TRY）	南アフリカランド（ZAR）
政策金利	50%	8.25%
信用格付け（S&P）	B	BB-
為替安定性	不安定	比較的安定

ランドのほうが信用度が高く、中長期的な運用に向いているとの声も多いです。

メキシコペソとの利回り差

2025年現在、メキシコペソ（MXN）の政策金利は11%前後であり、トルコリラより低いですが、為替安定性が高く、スワップ狙いの初心者に人気です。

スワップはTRYの方が高いが、MXNの方が価格安定
経済指標の予測精度が高く、判断材料に困らない
通貨ペアの流動性が高く約定しやすい

為替変動幅の比較とその戦略的活用

トルコリラは変動幅が大きいため、短期トレード向きの通貨といえます。対して、ランドやペソは比較的緩やかな値動きをします。

以下は過去1年間の平均変動幅（1日あたり）です。

通貨	平均変動幅（対円）
トルコリラ	約1.2円
南アフリカランド	約0.3円
メキシコペソ	約0.2円

各国の政策安定性の違い

中央銀行の独立性や政権の安定性は通貨価値に直結します。トルコは過去に何度も中央銀行総裁が交代しており、政策の一貫性に欠けるとの批判があります。

一方、メキシコや南アフリカは市場との対話を重視しており、サプライズ要因が少ないと評価されています。

市場参加者の数と流動性の違い

取引量の多さは流動性と直結し、スプレッドの狭さや約定の速さに影響します。メキシコペソや南アフリカランドはGMOクリック証券やDMM FXなどで人気通貨として扱われています。

トルコリラ：取引量はやや限定的
メキシコペソ：新興国通貨で最も流動性が高い
南アフリカランド：資源国通貨として一定の需要あり

流動性の低い通貨は、パニック時に急落しやすい点に注意が必要です。

トルコリラ運用の最新トレンドと今後の見通し

2025年以降の金利動向予測

トルコの政策金利は2025年6月現在で約50%と非常に高水準ですが、市場では年内にも利下げ局面に入るとの見方が強まっています。

これはインフレ率の鈍化や政権の圧力による政策変更が背景にあり、短期的にはスワップ収益に影響が出る可能性があります。

インフレ目標：2025年末時点で20%を目指す
実質金利の低下により投資魅力が低下する懸念
金利引き下げはリラの売り圧力を招きやすい

新政権と政策転換の可能性

エルドアン政権下で続いてきた利下げ重視のスタンスから、近年はインフレ抑制と市場との対話重視へと転換が見られます。

財務省・中央銀行の幹部交代も影響しており、政策の一貫性と信頼回復がカギになります。

ただし、政権の方針次第では再び急な政策変更が起こる可能性もあり、警戒は必要です。

IMFや他国との関係と支援の有無

トルコはこれまでIMFとの融資協議を避けてきましたが、外貨準備の減少や対外債務の圧力から再接近する可能性が高まっています。

各国との通貨スワップ協定や直接投資の誘致も進めており、対外関係が為替安定に寄与するか注目されます。

支援形態	内容
IMF融資	条件付きで資金提供、政策介入の可能性あり
通貨スワップ協定	中国・カタールなどと既存協定あり
湾岸諸国からの直接投資	インフラや不動産を中心に増加傾向

機関投資家の動向と市場影響

海外の年金基金やヘッジファンドの中には、2024年後半から再びトルコ国債への投資を増やす動きも見られます。

これは金融正常化への期待を反映しており、資金流入がリラ相場の下支えになると期待されています。

JPモルガンやモルガン・スタンレーが投資再開を示唆
国債利回りは依然として魅力的な水準
短期ではボラティリティの高さも警戒される

SNSやブログなど個人投資家のリアルな声

日本国内でも「月1万円からトルコリラFXを始めた」「1年でスワップ益12万円」など、個人投資家の声が増加しています。

一方で、「一晩で10万円損した」といった急変への不安の声も見られます。

高金利に惹かれる一方で、実体験を通じたリスク意識の共有が重要です。

実際のスワップ受け取り額や証拠金維持率の共有
暴落時の対応策を語る体験談が多い
X（旧Twitter）やYouTubeを通じた情報発信が活発

トルコリラ運用に関するよくある質問（FAQ）

トルコリラがデフォルトした場合、保有資産はどうなる？

トルコリラがデフォルトした場合、保有しているトルコリラ建て資産の価値は大きく下落する可能性があります。特にFXや外貨預金では為替レートの急落によって損失が発生しやすく、資産が目減りするリスクがあります。

2021年のアルゼンチン国債デフォルト時には、投資信託の基準価額が数日で15%以上下落した実例もあります。

スワップポイントはデフォルト後も支払われる？

スワップポイントは通常、政策金利と通貨間の金利差に基づいて発生します。ただし、デフォルトによって為替レートが急変した場合、取引業者がスワップ条件を変更・停止することがあります。

過去には高スワップ通貨のレバノンポンドが支払い停止となった例もあるため、

スワップ収益に過度な期待を持ちすぎないことが重要です。

デフォルトの予兆はどのように見極める？

以下のような動きが見られた場合、デフォルトの可能性が高まっているサインとされます。

CDS（クレジット・デフォルト・スワップ）の急騰
外貨準備の大幅減少（トルコでは2023年に2週間で40億ドル減）
格付け機関の突然の格下げ

情報の一次ソースを定期的に確認する姿勢がリスク管理につながります。

FX会社の保証や補償はあるのか？

日本のFX会社では、トルコリラが急落しても保証制度は基本的に存在しません。ただし、顧客資産の分別管理や信託保全により、業者の破綻時には資金の一部が返還される仕組みがあります。

制度	内容
分別管理	顧客資金と業者資金を別口座で管理
信託保全	指定銀行が顧客資金を預かる仕組み
追証免除	ゼロカット対応業者も一部あり

初心者でもトルコリラに投資していいのか？

初心者でもトルコリラに投資することは可能ですが、

高リスク通貨であることを理解したうえで慎重に判断すべきです。

特に以下のような点を意識してください。

レバレッジは1〜3倍に抑える
経済・政治ニュースを定期的に確認する
少額からスワップ投資を試す

資産の全額をトルコリラに集中させるのは避けるのが基本です。

トルコリラ以外に注目されている高金利通貨は？

2025年現在、以下の通貨が高金利通貨として個人投資家に注目されています。

通貨名	政策金利	特徴
メキシコペソ（MXN）	11.00%	為替安定性が高くスワップ向き
南アフリカランド（ZAR）	8.25%	資源国通貨で値動きは比較的穏やか
ブラジルレアル（BRL）	10.50%	高金利だが政治リスクも大きい

これらの通貨とトルコリラを比較検討し、自分のリスク許容度に合った運用を行うことが大切です。

まとめ：トルコリラ運用は情報と準備で乗り切れる

トルコリラの運用は高い金利収益が期待できる一方で、通貨下落や政策変動といったリスクも伴います。特にデフォルトの可能性やスワップの停止など、初心者には見落としがちな不安要素も少なくありません。

この記事では、以下の観点から網羅的に解説しました。

トルコリラの特徴と過去の為替推移
デフォルト時に起こり得る影響と対応策
主要なリスクとその回避方法
他の高金利通貨との比較による優位性と注意点
今後の政策・金利・投資家動向の見通し
初心者が抱きやすい疑問に対する具体的なFAQ

短期利益に目を奪われず、中長期の視点で戦略的に投資する姿勢が、トルコリラ運用成功のカギです。

リスクをチャンスに変えるためには、正確な情報と冷静な判断が不可欠です。