トルコリラ/ユーロのレートの5年推移と将来予測

2025/06/15

トルコリラとユーロのレート推移が気になるあなたへ

「最近トルコリラが安いけど、ユーロとの関係はどうなっているの？」そんな疑問を持っている方は多いのではないでしょうか。結論から言えば、トルコリラは過去5年でユーロに対して大きく下落しており、背景にはトルコ経済の構造的な問題や政治要因があります。

この記事では、過去5年間の実際の為替データとともに、専門家の見解や将来予測を分かりやすく紹介します。投資を検討している方にも、今後の為替変動を知りたい方にも役立つ情報をお届けします。

「FXや海外送金で損しないために、今のレート状況をきちんと把握しておきたい」というニーズにも応える内容となっています。

トルコリラの下落が止まらない今、信頼できる情報と分析をもとに、冷静に判断することが大切です。

この記事で分かること

トルコリラとユーロ、それぞれの通貨の特徴と違い
2019年から2024年までの為替レート推移と背景要因
トルコ経済とEU経済の影響関係
為替アナリストによる将来予測とシナリオ別分析
投資・送金などにおけるトルコリラ／ユーロ活用のポイント

トルコリラ／ユーロの基本と両通貨の特徴

トルコリラとはどんな通貨？

トルコリラ（TRY）は、トルコ共和国の法定通貨です。2005年にデノミネーション（通貨の単位切り下げ）を行い、現在の「新トルコリラ」が導入されました。

特徴として、高金利通貨としてFX取引で人気が高い一方、インフレリスクが常に存在しています。

近年はトルコ中央銀行の利下げ政策が続き、為替相場が大きく変動しています。

ユーロの国際的な位置づけとは

ユーロ（EUR）は、欧州連合（EU）の共通通貨であり、19か国以上で使用されています。米ドルに次ぐ世界第2位の通貨流通量を誇り、国際取引や投資でも広く利用されています。

安定した金融政策と強い経済基盤が背景にあり、リスクオフ時には安全資産として買われる傾向があります。

両通貨の為替に影響する主な要因

トルコリラとユーロのレートに影響を与える主な要因は以下の通りです：

金利差（特にトルコ中銀とECBの政策金利）
政治的安定性と選挙結果
インフレ率と経済指標の発表
地政学リスク（シリア情勢やNATO関係など）

為替は複数要因が複雑に絡み合うため、単一の指標だけで予測するのは危険です。

トルコとEUの経済的関係

EUはトルコにとって最大の輸出先であり、2023年時点では全輸出の41.3％をEU諸国が占めています。

特にドイツ、イタリア、フランスとの貿易量が多く、ユーロ建てでの取引が非常に多いのが特徴です。

このため、ユーロの変動はトルコ経済に直接的な影響を与えることが多くなっています。

為替市場での注目ポイント

トルコリラとユーロの取引では、以下の要素に注目することでレートの動向を予測しやすくなります。

注目指標	内容
トルコ中銀政策金利	金利変更の発表でリラが大きく動く
ECB理事会声明	ユーロ圏の景気判断や金融緩和策に注目
インフレ率	消費者物価指数（CPI）は双方の通貨評価に直結
失業率やPMI	経済成長の目安として投資家が注視

これらの指標を把握することで、短期的なトレードから長期の資産運用まで活用できます。

トルコリラ／ユーロの過去5年レート推移（2019〜2024）

年ごとの主要レート変動（2019〜2024）

トルコリラとユーロのレートは、5年間で大きく変化しました。特に2021年以降の下落が顕著です。

年	平均レート（TRY／EUR）
2019年	6.35
2020年	7.90
2021年	10.45
2022年	16.78
2023年	21.93
2024年（5月時点）	34.10

このように、約5年で5倍以上の下落幅が観測されています。

急激な変動が起きた背景とは

大きな変動の原因としては、以下の要因が挙げられます。

トルコ中銀による連続利下げ（2021年末〜）
エルドアン大統領の経済介入姿勢
2023年大統領選挙とその影響
国際的な資金流出と通貨不信

特に2021年には、1カ月でリラがユーロに対して20%以上下落した時期もありました。

コロナ禍・インフレ・利上げの影響

2020年のコロナショック以降、世界的なインフレと利上げの動きが加速しました。

一方、トルコでは2022年まで政策金利を引き下げ続けたため、金利差が拡大しリラ売り圧力が強まる結果となりました。

2023年後半からは利上げに転じましたが、市場の信頼を回復するには至っていません。

トルコ中銀の金融政策と通貨安

トルコ中央銀行は、2021年以降のインフレ加速にもかかわらず利下げを優先しました。

2023年6月には政策金利が24%まで上昇しましたが、それでもインフレ率（CPI）は50%前後と非常に高水準です。

市場では「実質マイナス金利」への懸念が根強く、通貨価値の維持が課題です。

他通貨との比較（米ドル／ユーロとの乖離）

トルコリラは米ドルに対しても下落していますが、ユーロとの下落幅の方が大きい傾向にあります。

通貨ペア	2024年5月時点のレート	5年前比
TRY／EUR	34.10	約5.4倍
TRY／USD	32.20	約4.8倍

ユーロ高・リラ安のダブル要因が影響しており、レート変動には二国間の経済動向を注視する必要があります。

トルコリラ安が進んだ主な原因と国内経済への影響

金融緩和政策とその弊害

トルコ中銀は、インフレが進行する中でも利下げを断行してきました。特に2021年後半から2022年にかけての利下げは、通貨の信頼性を著しく損ないました。

結果として、リラ安が急激に進行し、輸入コストが大幅に上昇しました。

金利を下げることで内需を喚起したい意図があったものの、実際にはインフレ加速と為替の不安定化を招く結果となっています。

政治的不安定と市場の警戒感

エルドアン政権による中央銀行への圧力や、相次ぐ総裁解任も不安材料です。

2023年の大統領選後も政権の通貨政策は明確に変わらず、海外投資家の信頼回復には至っていません。

2019年以降の中銀総裁の交代回数：4回
政権主導の金利政策による市場との乖離

金融機関が長期資金を投入しにくい状況が続いています。

トルコ国内のインフレ動向

トルコ統計局によると、2024年初頭の消費者物価指数（CPI）は前年同月比で約67%の上昇を記録しました。

食料品やエネルギー価格が大きく上昇しており、庶民の生活に直接的な打撃を与えています。

以下は、主要品目の物価上昇率の一例です。

品目	上昇率（前年比）
パン・穀物類	84.1%
ガソリン	102.5%
電気料金	91.7%

輸出企業・観光業への影響

トルコリラ安は、海外からの観光客誘致や輸出競争力の強化には一定のメリットがあります。

2023年の観光客数：5,190万人（前年比＋11.6%）
主要輸出品：自動車、繊維、農産物

しかし同時に、原材料を輸入に頼る産業はコスト高に直面しており、恩恵と負担が業種によって大きく分かれます。

国民生活と購買力の変化

為替下落とインフレのダブルパンチにより、一般家庭の生活は圧迫されています。

実質賃金が追いつかず、貯蓄よりも現金消費が優先される傾向が強まっています。

最低賃金：11,402トルコリラ（約334ユーロ相当／2024年時点）
失業率：9.2%（2024年3月）
節約傾向：中古品購入や家庭菜園の増加

経済全体の回復には、可処分所得の改善が重要課題となります。

ユーロ高との関係とEU経済の影響

ECB（欧州中央銀行）の政策と金利動向

ECBはインフレ抑制のために2022年以降、段階的な利上げを実施してきました。2024年現在の主要政策金利は4.50％で、ユーロの為替を押し上げる要因となっています。

トルコリラとの金利差拡大は、リラ安・ユーロ高の流れを加速させる要因となっています。

2022年：0.00％ → 2024年：4.50％
インフレ率目標：2.0％（ユーロ圏平均）

ユーロ高による貿易圧力と恩恵

ユーロ高は輸出企業にとって逆風となりますが、原材料やエネルギーを輸入する企業にとってはメリットがあります。

また、ユーロ建てで外債を保有する新興国にとっては、返済負担の増加につながります。

影響対象	主な影響内容
EU輸出企業	価格競争力の低下
EU輸入企業	輸入コストの低下（恩恵）
新興国（トルコ含む）	外貨建て債務返済コストの上昇

トルコとユーロ圏の貿易構造の変化

トルコの主要貿易相手国はEUであり、2023年の対EU輸出はトルコ全体の42％を占めています。

このため、ユーロの変動はトルコの輸出入価格に直結します。トルコリラ安が進行することで、ユーロ建て取引の利益は増す一方、仕入れコストも上昇しています。

主要輸出先：ドイツ、イタリア、フランス
主な輸出品目：自動車部品、衣料品、家電製品

地政学リスクと通貨の安全資産性

ロシア・ウクライナ問題や中東の緊張が続く中、ユーロは安全資産としての役割を強めています。

ユーロは米ドルほどではないものの、国際的な不安時に選ばれる通貨の一つとして評価されています。

一方で、トルコリラはリスク資産とみなされることが多く、地政学リスクの影響を受けやすいです。

他通貨（ポンド・ドル）との強弱比較

ユーロはポンドや米ドルに対しても堅調に推移していますが、金利水準の差でドルが優勢となる場面も多く見られます。

通貨ペア	2024年5月時点の平均レート	対ユーロ強弱
EUR/USD	1.08	ややドル優勢
EUR/GBP	0.86	ほぼ均衡
EUR/TRY	34.10	ユーロ圧倒的優勢

通貨の相対的な位置づけは、投資判断や貿易コストに大きな影響を与えるため、継続的なチェックが必要です。

為替アナリストの見解と将来予測（2025年以降）

今後のトルコ中銀の政策予測

2024年後半から2025年にかけて、トルコ中央銀行は引き締めスタンスを維持する見込みです。インフレ率が依然として高く、金利も30％台後半を維持しています。

過去の急速な利下げの反省から、段階的な利上げまたは高金利の維持が継続される可能性が高いです。

2024年政策金利：36.0％（5月時点）
ターゲットインフレ率：15.0％（目標値）

ユーロ圏の経済見通し

ユーロ圏は2025年にかけて緩やかな成長が予測されています。ECBは利上げを一旦停止し、景気回復を優先する方向に舵を切る動きも見られます。

ユーロはやや調整局面に入る可能性があり、対トルコリラでの上昇は一服するシナリオも想定されます。

指標	2024年→2025年見通し
ユーロ圏GDP成長率	＋0.6％ → ＋1.2％
失業率	6.4％ → 6.3％

トルコリラ／ユーロの想定レートレンジ

民間アナリストの予測では、2025年のトルコリラ／ユーロ相場は以下のレンジで推移する見通しです。

楽観シナリオ：28.00～30.00
中間シナリオ：31.00～35.00
悲観シナリオ：36.00～40.00超

インフレ率と金利のコントロールが鍵となり、短期的にはボラティリティの高い展開が続く可能性があります。

経済回復シナリオ別のシミュレーション

以下のように、経済回復の速度によって為替の影響度が変化します。

シナリオ	主な前提	レート影響
急回復	輸出増加・インフレ沈静化	TRY高、28〜30水準
横ばい	金利維持・成長鈍化	TRY弱含み、33〜35水準
後退	政情不安・資金流出	TRY急落、35超〜不安定

政治・外交リスクを含む外部要因も価格変動に影響を与えるため、複数の視点で分析することが重要です。

個人投資家が取るべき為替戦略

個人でリラ／ユーロを取引する際は、以下のような戦略が有効です。

短期売買：テクニカル分析とリスクヘッジの併用
長期保有：高スワップ狙い＋積立型投資
ヘッジ活用：EUR/USDとの組み合わせ分散

リスク許容度に応じた運用方針を明確にし、急激な変動時には即応できる体制を整えることが求められます。

トルコリラ／ユーロを扱うなら知っておきたい活用術

FX取引における注意点とメリット

トルコリラ／ユーロは高ボラティリティ通貨ペアとして知られており、短期売買での利益機会が多い反面、リスクも大きいです。

特にトルコリラは政策変更に敏感なため、重要指標や発言への迅速な対応が求められます。

取引コスト（スプレッド）が広がりやすい
スワップポイントが高く、長期保有に向く
短期トレーダー向けに人気の通貨ペア

両替・送金におけるベストな方法

個人でトルコリラ／ユーロを両替・送金する場合、手数料やレートの差に注意が必要です。

以下のような手段が一般的です。

Wise（旧TransferWise）：低手数料・リアルタイムレート
大手銀行：信頼性ありだがレートはやや不利
空港両替所：利便性は高いがレートは悪い傾向

少額・個人送金ならオンライン決済サービスの方が有利です。

リアルタイムチャートの活用術

為替変動が大きいトルコリラは、タイミングを見極めるためにリアルタイムチャートの活用が必須です。

代表的なチャートサービスには以下があります。

サービス名	主な特徴
TradingView	高機能・多通貨対応・無料版あり
Investing.com	スマホアプリ対応・経済指標も確認可能
OANDA	FX業者と連携・実際の取引価格に近い

長期投資と短期売買の視点

トルコリラ／ユーロで収益を得るには、取引スタイルに応じた戦略設計が必要です。

短期売買：テクニカル分析とニュースの即応
中長期投資：スワップポイントと金利差重視
混合型：逆張り＋保有期間調整

目的に応じてFX業者やレバレッジ設定を変えることも有効です。

ヘッジ手段としての通貨活用方法

ユーロやトルコリラは、資産保全やインフレ対策の一環として通貨分散に利用されるケースもあります。

特に、トルコリラはインフレ対応型ポートフォリオに組み込まれることがあり、一定のヘッジ効果が期待されます。

ユーロ保有：ドル以外の安全資産として分散
トルコリラ：高金利通貨としての利回り重視

ただし、為替リスクを伴うため、他資産とのバランスを保つことが重要です。

よくある質問（FAQ）｜トルコリラ／ユーロのレートと投資

トルコリラは今後も下落し続けるの？

トルコリラは過去5年で約5倍下落していますが、2024年以降はトルコ中銀の利上げ政策により一部安定の兆しも見え始めています。

ただし、インフレ率が依然高く、地政学リスクも存在するため、短期的には不安定な動きが続く可能性があります。

2024年5月のインフレ率：約67％
中銀政策金利：36.0％

トルコリラとユーロ、どちらが投資に有利？

トルコリラは高金利によるスワップポイント狙いで人気ですが、為替変動リスクが非常に高い点に注意が必要です。

ユーロは安定性が高く、長期保有に向いています。

通貨	特徴	リスク
トルコリラ	高金利・高スワップ	急激な下落リスク
ユーロ	安定・流動性が高い	収益性は低め

どこのFX業者でトルコリラ／ユーロを取引できる？

国内外のFX業者でこの通貨ペアを扱っているところは限られますが、以下の業者で取り扱いがあります。

IG証券：ユーロ／トルコリラ取扱あり・スプレッドやや広め
SAXO BANK：通貨ペア豊富・中上級者向け
楽天FX・GMOクリック証券：トルコリラ／円は対応、ユーロ／リラは非対応

口座開設前に通貨ペアの有無と取引条件を確認することが重要です。

スワップポイント狙いの投資は安全？

スワップポイントは金利差から得られる利益ですが、為替レートの変動で元本が大きく目減りするリスクがあります。

たとえば、2021年に30円で購入したトルコリラが、2024年には10円未満になるなど、実際の損失例も報告されています。

1日あたりのスワップ益：100万通貨あたり約1,500円（業者により異なる）
為替損失：年10円下落で約100万円の損

トルコの政治リスクはどこまで影響する？

エルドアン大統領の権限強化や中央銀行人事への介入などが、市場からの信頼性を低下させています。

政策の不透明さがリラ売り材料となることが多く、選挙前後は特に為替が荒れる傾向があります。

2023年大統領選：リラが対ユーロで10％超下落
中央銀行総裁の交代：過去5年間で4回

政治的要因はテクニカル分析では予測しづらいため、情報の即時収集が重要です。

個人でできるリスク管理法はある？

個人投資家でも以下のような方法でリスクを分散・管理できます。

レバレッジを抑える（2倍以下推奨）
ストップロス設定による損切り管理
定期的な為替チェックと証拠金維持率の確認
通貨ペアの分散（ユーロ／リラだけに集中しない）

事前の想定損失額を明確にしておくことで、精神的なストレスも軽減されます。

まとめ：トルコリラ／ユーロの動向を正しく読み、賢く資産を守ろう

この記事では、トルコリラとユーロの関係性や過去のレート推移、将来の見通し、投資・実務での活用法について詳しく解説しました。

過去5年で5倍以上下落したトルコリラは、依然として高いリスクを伴う通貨である一方、高金利通貨としての魅力も備えています。

一方、ユーロは国際的な安定性と流動性を備えており、ポートフォリオに組み込むことでリスク分散につながります。

以下に、記事全体の要点を整理します。

トルコリラは高金利だが下落リスクが大きい
ユーロは安定通貨として堅調に推移している
レート変動は金利・インフレ・政治情勢に敏感
2025年以降も政策次第で大きな変動が予想される
FXや送金では手数料・スプレッド・タイミングが重要

為替相場は常に変動しています。最新の経済情報や市場動向を継続的にチェックし、自身のリスク許容度に応じた判断を行うことが大切です。

「トルコリラが安いから今が買い時」といった短絡的な判断ではなく、経済の構造や政策の流れを見極めた上で、慎重に対応しましょう。